未来学について

未来学 - 白水社hakusuisha.co.jp ↗

未来学とは、未来を予測する学問、だけではない。先見性=我々の行動が将来もたらす結果に目を向けることであり、未来について考えるさまざまなアプローチを学び、その複数性をとらえ、無数の可能性からべつの未来を創造するための力を与えるための学問体系が未来学である。未来学の中には未来史学というアプローチがあり、この言葉が面白い。

これまで模索ないしは提案された未来の姿それ自体の考古学として現れる歴史である。そこでは預言者やSFはもちろん、ルネサンスや啓蒙思想、テクノトピアさらには水晶玉というメタファまで様々な論点が表出し、加えて、そもそも時間概念自体の獲得のされ方、単線的時間・循環的時間などから生まれる未来の捉え方や、フランシス・ベーコンによる経験論的なアプローチの科学という体系についても、未来の一つの類型を見て取ることができるという。

あるいは公衆衛生を捉えるための統計学なども、未来というものと捉えるためのアプローチとして考えることもできるのだろう。著者は、若者たちが触れているメディアやディストピア映画など、未来への恐怖を煽動するようなものに影響され、うつや神経症、時には自死に至る事例に強い問題意識を抱いている。この論調は、マーク・フィッシャーの『資本主義リアリズム』と似たような構造を備えているように思う。この道しかない、というそれ以外自体を思考することすら難しいという、単線的で絶対的な未来像である。本書は、そのような未来像のあり方を冷静に相対化し超克するものとして読むことができる。