スタニスラス・ドゥアンヌ『数覚とは何か? 心が数を創り、操る仕組み』 について

数覚とは何か? ―心が数を創り、操る仕組み―: 書籍- 早川書房オフィシャルサイト|ミステリ・SF・海外文学・ノンフィクションの世界へhayakawa-online.co.jp ↗

人間がどのように数を理解し、扱うのかを脳科学と心理学の視点から解き明かす一冊。本書が示す「数覚」とは、言語や教育に先立って備わる直感的な数の感覚であり、乳児や動物さえも「多い/少ない」を瞬時に判断できるという普遍的な能力のことを指す。

ドゥアンヌは、脳の特定部位と数の処理との関係を神経科学的に探りつつ、この基盤が後の算術や数学的思考を支えていることを論じる。

ただし数覚で行われる計算は大雑把なもので、精緻な演算には文化や教育の介入が不可欠であり、その意味で本書は、数と人間の思考を架橋する「自然な直感と文化的学習の対話」として読むことができる。数学を遠ざけている人にも「数の根っこ」に触れるきっかけを与えてくれる一冊だと思う。