ショーウィンドウとポップアップ/場所性と非場所性、そして貨幣的な空間
先日DSA1のトークイベントに参加をして、ショーウィンドウの話になった。小さく短く細かくサイクルを回して作品が生まれ続けることがショーウィンドウがもつ特質で、だからこそ細かな実験や表現の可能性の探索が行われるのだ、というのは面白かった。ファッションにおけるSS/AWのショーのような関係性。強制的に発生する締め切りがリズムを作る。そこからショーウィンドウとは別にポップアップも増えている話になったのだけど、ショーウィンドウとポップアップは、前者は場所や文脈があり、後者はゲリラ的で文脈がなくても展開できることの差異があると感じる。ショーウィンドウは何らかのブランドや百貨店が持つアイデンティティに紐づいており、フォームがある。ポップアップにはそれがない、というかある種の非ー場所性によってさまざまブランドやIPが流動的に入り込み続けることができる。その背後や場に主体を感じることか、全く色がないこと。貨幣的だなと思う。
そういう意味でいうと、産業的あるいはBtoBのための空間というのは色のなさを最大限売りにされている。国際展示場一つとっても、その色のなさやフレキシビリティを最大化するための、単なるプラットフォームとしての無味乾燥とした空間は、確かに貨幣的かつ透明な空間だ。ここでの貨幣性というのは、「金には色がない」と呼ばれているような、ある種の文脈や入手の経路がどうであったかをキャンセルするような透明性を指して理解するのが良いだろうか。鈴木健の『なめらかな社会とその敵』の貨幣論を思い出す。あれは色がついた貨幣の可能性の議論だった。
1一般社団法人日本空間デザイン協会(DSA):ショールームや展示会、博覧会をはじめ、商業空間・公共空間など、幅広い空間デザイン領域に携わるデザイナーの職能団体。日本ディスプレイデザイン協会(DDA)を前身とし、空間デザイン領域の拡大に伴って、2012年に現在の名称へ改称した。